はだしのゲン(1)の説明

はだしのゲン(1)

食糧も何もかもが不足していた戦時中、中岡元少年は両親と四人のきょうだいたちと暮らしていた。
平和を強く訴え、それを疎ましく思う町内会長たちに嫌がらせをされても「非国民」と呼ばれても決して屈しない父を元は尊敬していた。
時は昭和二十年、日本最後の砦、沖縄はまさに血の海と化していた。
死の影は刻々と元たちの住む広島にも近づいていた。
元一家が暮らす広島に、一九四五年八月六日午前八時十五分、原子爆弾が落とされた。
広島市が一瞬にして死体と苦しみの声で埋まってしまった。
地獄のような風景の中で、元が家にたどり着くと、父と姉と弟が家屋の下敷きとなっており、母は途方に暮れていた。
元は、父と姉と弟を原爆で失い、母と生まれたばかりの妹と共に生きていくため必死だった。
米を手に入れるため出掛けた元は、悲惨な死体の山、さっきまで元気だった人が突然死んでいく恐怖、被爆者たちへの理解ない仕打ちを目の当たりにする。
ある日、元たちの前に、死んだはずの弟・進次そっくりな男の子が現れた。
死んでしまった弟にそっくりな少年、隆太は原爆孤児の少年だった。
同じように原爆で家族を失った子供たちと一緒に、どろぼうをして暮らしていた隆太だったが、元は弟にそっくりなこの少年をほっておくことはできず、一緒に暮らせるように母に頼みこんだ。
家もなく仕事もなく、栄養失調になりながらも母と妹、弟に似た隆太と必死に生活する元。
せめて妹だけにでも…とやっとの思いで粉ミルクを盗み出すが、地元のやくざにだまし取られてしまう。
元は彼らに立ち向かい、傷だらけにされてしまった。
隆太は元の敵を取ろうと、持ち出したピストルを発砲した。
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